2024年12月5、6日の二日間、埼玉県比企郡嵐山町・小川町エリアにて「平野から里山へ 自転車で『比企丘陵』の人と食に出会う旅 ～2DAYS around The HIKI plains～」が行われた。このコンセプトツアーは「日本の里山の風景や暮らし、特有の地域文化を味わいたい」という海外の方向けの「田舎の人と食に出会う旅」だ。
ツアーリーダー ジョーンズ久子さんの紹介＆コメント
ツアーリーダーは、海外経験や旅行業に精通したジョーンズ久子さん。一般社団法人東松山市観光協会所属。
「添乗員にあこがれて旅行業界を約10年経験し、赴任先のオーストラリアからの帰国後は、英語を活かせる行政の仕事を経て、現在は地元比企地域で観光協会職員として働いています。都内からのアクセスが良い比企地域の魅力を伝えるため、田舎の風景や食を楽しみ、のんびりと地元の人と交流いただける周遊型のサイクリングツアーを企画しました」
Day1. お寺での瞑想体験や紅葉下の散策、有機野菜も楽しめる
2024年12月5日、埼玉県の高坂駅に集合したゲストを迎えたジョーンズさん。
彼女の持つ和やかな雰囲気そのままに「平野から里山へ 自転車で『比企丘陵』の人と食に出会う旅」が、ebike（電動アシストバイク）に乗ってスタート。
日本らしい駄菓子屋さんで買い物を済ませ、最初に目指したのは東松山市にある「岩殿観音正法寺」だ。
ここではサイクリングが趣味の住職さんとともに瞑想体験が行えるほか、推定樹齢700年を越える大銀杏が間近に見られるなど、ふだんなかなか得られない「自己と自然に向き合う時間」が与えられた。
次にジョーンズさんらが向かったのは嵐山町にある「フクロウの森」。
同地のレストランで昼食をとったら、一度自転車を降り、地元の景勝地である嵐山渓谷へと出かける。
当日はちょうど紅葉の見頃を迎え、赤や黄に染まる木々を見ることで、ゲストは日本の四季を改めて感じられたようだ。
ふたたび自転車に乗り、低山の間を縫うようにサイクリングすれば、ここまでのアクティビティーのおかげか、田舎町の風景やちょっとした草花にも目が向けられるように。
夕日を浴びながら無事宿へ着いた後は、小川町にある「有機野菜食堂 わらしべ」へと移動。
バランスよく、身体にもやさしい夕飯をいっしょに食べれば、自然とゲスト同士の会話も弾むというもの。
Day2. 農家さんの畑や家で有機野菜に触れ、歴史ある酒蔵で「日本酒」を知る
2日目は、前日夜に続いて小川町の有機野菜を体感することからスタート。
「風の丘ファーム」で野菜の収穫体験を済ませたら、そのまま農家さんのお家の前で採れたて野菜をメインとしたランチタイムへ。
「野菜そのものの甘さや酸味、なによりも新鮮さが感じられます！」とゲストも大満足。
ランチのあとは数キロのサイクリングを経て「吉田家住宅」へ。
国指定重要文化財に指定された民家で、みんなで囲炉裏を囲んで焼き団子を食べてまったりと時間を過ごす。
そして最後に向かったのは「松岡醸造」。
小川町で170年以上の歴史をもつ酒蔵では、社長自ら日本酒の歴史や蔵の構造を解説、さらに帝松（みかどまつ）ブランドのお酒を試飲させてもらい、お土産を買ってすべての行程が終了。
コンセプトの通り「田舎の人と食に出会う旅」を体現した豊かなツアーとなった。
「参加者と地域の方々のかけ橋になるようなツアーを」（ツアーリーダー ジョーンズさん）
ツアーリーダーを務めたジョーンズさんは今回のツアーをこう振り返る。
「『あれもこれも見て欲しい』と盛りだくさんの内容になってしまいましたね。歴史あるお寺の住職と境内を散策する、有機農家さんに話を聞きながら農業体験をするなど、参加者と地域の方々のかけ橋になるようなツアーを、今後も開催していく予定です。このサイクリングツアーが、比企地域の魅力を世界に発信するツールの一つになることを願っています」
比企エリアから日本の魅力を！ 次なるツアーへ続いていく
現在日本国内において「インバウンド対応」や「オーバーツーリズム」が叫ばれるなか、国外のゲストを想定した小規模なツアーが徐々に増えてきている。
こうしたスモールなツアーは、大規模な観光ツアーから溢れ出た受け皿になるだけでなく、より深く、ローカルな日本の魅力を伝える「アドベンチャーツーリズム」として機能していくことだろう。
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